第3章 岐路
「!!!貴様………!」
エルヴィンに手をかけようとした時、ミケが俺の身体を押さえつけた。
「知っていたのか………?!知っていて俺達を泳がせたのか………!殺す!!殺してやる!!!」
「俺の部下を、お前の仲間を殺したのは誰だ?俺か?それとも、お前か?」
「………!」
「共に私を襲いに来ていれば、二人は死なずに済んだのか?」
俺の剣を握りしめ、奴の手には血が滴っている。
「………俺の驕りが……クソみてぇなプライドが………あいつらを……!」
「違う!!巨人だ!!!」
「!!」
「巨人はどこから来た?何のために存在している?何故人間を食う?わからない。我々は無知すぎる。無知でいる限り巨人に食われる。壁の中にいるだけでは、この劣勢は覆せない。それが事実だ。」
「…………。」
「周りを見ろ。どこまで走っても壁のないこの広大な空間に、我々の絶望を照らすなにかがあるかもしれない。だが壁を超える事を拒む人間もいる。奴らは危険の及ばない場所で自分の損得を考えるのに血眼になっている。」
奴の言葉が、俺の思考を支配していく。
「無理もない。百年もの間、壁に阻まれ曇ってしまった人間の眼には、向こう側の景色が見えていないのだ。」
「…………!」
「お前はどうだリヴァイ。お前の眼は曇ったままなのか?私を殺して、暗い地下に逆戻りか?」
エルヴィンは、あいつと同じだ。
「私たちは、壁の外へ出るのを諦めない。調査兵団で戦えリヴァイ!!お前の力は、人類にとって必要だ!!!」
『私の世界はまだ狭いけどっ………!自由の空の下には、いつかあなたと一緒に行きたいの!!!私には、あなたが必要なの!!』
あの時の、エイルの言葉が重なる。
そうか、お前たちは曇りのない眼で、俺には見えないものを……偽りの自由の先に、本当の自由を見ているのか。
それなら俺はお前たちの翼になろう。
邪魔するものを切り裂き、自由に羽ばたけるように。
お前たちが必要としてくれるのなら。