第27章 海容 ※
膝の上からリヴァイさんが私を見上げる。
私がリヴァイさんの黒髪を指で梳いて撫でると、リヴァイさんもまた私の髪を指に絡めて遊ばせる。
「謝りたいんです。」
「何をだ。」
「あの時、団長室から出てきた私を手当てしようとしてくれたのに――――――意地を張って、ごめんなさい………。」
「………手当てなんざ、口実だった。逃げて正解だ。」
「口実だったんですか?」
私は思わずふふっと笑う。
「一秒でも早く、あの服を脱がせたかった。」
「服、ですか?」
「………エルヴィンの服を着ていただろう。」
「……あぁ。」
犯人の吐かせるための口実だったのかと思いきや、そっちだったのか。驚くほど嫉妬深くて、たまらなくリヴァイさんが可愛く見える。そのまま少しの間、お互いの髪をただ触るだけ、でもどこか温かい空気が流れた。そしてその空気は、リヴァイさんの突拍子もない問によって崩れ去った。