第26章 落着
身体を離しにこりと笑顔を作ると、またも怪訝な顔をしてアウラさんは走り去っていった。
ふぅっとため息をつくと、陰から見守ってくれていたゲルガーさんが笑いを堪えながら出てきた。
「………お前、ほんと面白いな!」
「なんですか、結構真面目に向き合ったんですよ―――――――あ。」
ゲルガーさんの後ろからさらにエルヴィン団長が現れ、私は背筋を伸ばした。
「エルヴィン団長。」
「いや、実に見事な采配だった。感心したよ。私が出る幕もなかったね。」
「いえ……そんな……。」
どこから聞いていたんだろう……あんまり聞かれたくないようなことも言った気がする……少し複雑な心境だ。
一抹の不安は残るものの、とりあえずこの件は一段落だ。
リヴァイさんに、会いたい。
会って、あの日言葉足らずにリヴァイさんを拒否して傷付けてしまったことを、謝りたい。
そしてアウラさんと話をしてきたこと、褒めて欲しい。偉かったなって抱きしめて、頭を撫でで、たくさん触れて欲しい。溶けるほどに体温を分け合いたい。
明日は調整日だ。
私は時計の針が0時を超えるのを待ちきれずにいた。