第26章 落着
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「―――――アウラさん。」
厩舎の隅で、愛馬に寄り添う彼女を見つけた。私を見たアウラさんは驚き、後ずさる。
「な、なんで……!?」
「運よく、友人が助けてくれました。」
「………っ……!」
「アウラさん。話をしましょう。ちゃんと。」
「………は?」
「――――――リヴァイ兵士長のこと、愛していらっしゃるんですよね。」
「………っなによ、笑いたいの……?!」
アウラさんは声を荒げて私を睨んだ。
「笑うなんてとんでもない。……私も同じです。リヴァイ兵士長を、愛しているから。……同じ、気持ちなんです。だから――――――あなたが私に抱く気持ちも、分かるんです。何度もあなたに、嫉妬しましたから。」
「………な、によ………!わかるわけない……!リヴァイに愛されているあんたに、私の気持ちなんか!!!」
愛とはなんだろうか。
実に不確実なものだとエルヴィン団長が言っていた。
確かにその通りだ。だから不安になる、だから美しい、だから悲しくて、だから甘美だ。
「今は、そうかもしれない。でも、人の気持ちは、いつ変わるかわからない、実に不確実だと、敬愛する人が教えてくれました。」
「…………。」
「愛し続けたって、愛し続けてもらえるわけじゃ、ない。」
「―――――――。」
アウラさんは放心したように一点を見つめていた。