第26章 落着
その時、聞き覚えのある声が聞こえた。ゲルガーさんと、モブリットさんだ。
「あ?お前ら一般兵の仲間じゃねぇか。おい、一緒に楽しもうぜ。」
「………クズが………!」
「―――――貴様ら………。」
モブリットさんが男の1人に掴みかかり、殴り飛ばした。
ゲルガーさんももう一人の男の胸元を掴んで殴り、蹴り倒した。
「貴様らは一般兵の恥だ!!!」
思いもよらず、モブリットさんが叫んだ。
「この人たちが……余所者の……足手まといでしかない俺達にどれほどの時間と、心を割いてくれているか……なにも感じないのか……!」
「……俺はよ、この兄ちゃんみたいに綺麗ごとを言う気はねぇが……てめぇらみたいなクズと一緒にされちゃ、たまんねぇよ。」
2人はその圧倒的実力でいとも簡単に3人の男をねじ伏せた。
「ナナさん、大丈夫ですか!」
モブリットさんが私を起こして、口に噛まされた布と手の拘束を解いてくれた。
「大丈夫……です、ありがとう……ございます………。」
「怪我、されてるじゃないですか……。」
「口の中を少し、切っただけです。」
「――――良かったぜ、なんか気になってお前のあとをつけてきて……。」
ゲルガーさんもかがんで頭を撫でてくれた。
「………まるで抵抗できる状態じゃなくって……、あの、助かりました………。そして……モブリットさんにもゲルガーさんにも気を付けろって、言われたのに、私―――――――。」
「……やめろよ、今自分を責めるこたぁねぇだろ。」