第26章 落着
翌日、ハンジさんとモブリットさんにことのあらましを話し、モブリットさんが同じ一般兵のダンさんの動向を注視してくれることになった。ハンジさんの研究室に呼び出されたのは、それから更に翌々日のことだった。
「ナナ。モブリットがダンとうちの女性兵士が隠れて話しているのを目撃したってさ。」
「本当ですか。」
ハンジさんがモブリットさんに目くばせをすると、モブリットさんは詳細に見たままの事を話してくれた。
「昨日、訓練終わりに女性兵士が近づいてきて、二人で倉庫の奥の方へ歩いていきました。私は後をつけたのですが――――――やりとりの詳細までは聞こえず、様子のみになりますが。」
「かまいません、教えてください……。」
「女性兵士はなにやらイライラしているというか――――怒っている様子、ダンをなじっているように見えました。ダンはそれをめんどくさそうに聞き流しながら、言葉を吐き捨てたようにしてその場を去りました。女性兵士は更に怒りの感情を掻き立てられていた、そんな印象でした。」
「―――――で、モブリットはその女性兵士の名前を調べてくれたんだが。」
「アウラ・セイロス。」
「―――――アウラさん………。」
リヴァイさんのことだ。
私は確信した。
彼女はリヴァイ兵士長に、本気の憧れを抱いていたのか……。