第25章 悪巧
「ナナ、………やはり君を奪還作戦に同行させようと思う。」
「!!」
それは汗ばむ陽気の日に突然告げられた。
奪還作戦まであと2ヶ月。エルヴィン団長とリヴァイ兵士長、ミケさんやハンジさんが連日話し合いながら、最終的に調査兵団から同行させる兵士を決定していたようだ。
出陣する兵は、いずれも戦闘力に長けていて統率力もある人たち……だったのだが、その名前の中にサッシュさんやリンファをはじめ、一部の実力者の方々の名前が無いのが不思議だった。温存しておきたいという意味だろうか。
リンファやサッシュさんの名前がないことに少し安堵したが、その反面、私が班に加わることになった話の展開に若干の違和感も抱いた。
「……怖いのなら、やめておくんだな。」
私の表情を見て、リヴァイ兵士長が腕を組んだままこちらを見る。
「………いえ。ありがとうございます。ぜひ私も行かせてください。」
「それは頼もしいな。」
「……医療班のあとの9名は……どうなりますか。」
「医療班は出さない。以前の決定通りだ。」
「………安心しました。それで私は、どの隊に配属されるのでしょうか。」
「俺だ。」
「……リヴァイ兵士長。………足を引っ張らないよう努力します。どうぞ、宜しくお願い致します。」
私は軽く頭を下げた。
「隊の編成はもう発表を?」
「ああ。明日には公表し、来週からは隊での訓練を開始する。君も班に加わってもらう。医療班のメンバーとは違う動きになることを、伝えておくといい。」
「はい。分かりました。」