第24章 誕生日
エルヴィン団長から不意の口づけをされ、不安を拭うためにリヴァイさんに抱かれに行ったその日、またしても私は途中で意識を飛ばしてしまったようだ。翌日の早朝に、リヴァイさんのベッドで起こされた。
まるで色欲にとりつかれたように、心に不安が浮かび上がるたびにリヴァイさんを求めてしまう。
こんなことではダメだ、しっかりしないと……。
エルヴィン団長は予定通り王都へ向かって早朝に兵舎を発った。不在は二日間と言っていたが、結局その日は溜まっていた書類の整理などで団長が不在の中でもそれらしく仕事をしてしまった。
次の日―――――、今日こそは団長補佐の仕事が無い。久しぶりの自分の時間は何をしよう、そんな事を考えながら、朝、兵服に身を包む。
「おはようナナ。」
「おはようリンファ。」
いつものように、長い黒髪を梳かしながらリンファが笑顔を向けてくれた。…本当に、まばゆいくらいに美しい。
昔、女でいる事をやめたくて切ったというその黒髪は、彼女の強さと比例するように長く、艶やかに今そこにある。
最近リンファのことを噂する兵士が増えてきているのが、嬉しいような少し心配なような、複雑な気持ちだ。
「そうだ。今日さ、夕食終わってからの時間ってなんかあるの?」
「ううん。今日は団長も不在だし、なにもないよ。どうして?」
「良かった、じゃあその時間は空けといて。」
「……うん……?」