• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第2章 変化




それからは日が暮れるまで他愛もない話をして過ごした。泊まっていきなさい、と母が手料理を振る舞ってくれた。屋敷では食べられなかった母の手料理は、今までで一番、優しい味がした。

翌朝、帰り支度を済ませ、荷物を馬に乗せた。



「ねぇナナ。」

「はい。」

「もし……こんな母でも……私でも力になれることがあるのなら、いつだって来て欲しい。手紙を書いてくれたら、王都まで行くこともできるわ。」

「うん………ありがとう。」



リグレットさんも見送りに来てくれた。



「ナナちゃん。こんな足だから頼りないかもしれないけど……お母さんは僕に守らせてくれないか。これから先も。」

「……はい。どうか母を、よろしくお願いします。」



私は深々とリグレットさんに頭を下げた。



「あなたの大きな夢……応援しているわ。またあの歌を聞かせて。」

「うん………。」



馬にまたがり、母の方を向く。
最高の笑顔で別れたかった。来てよかったと、伝えたかった。



「じゃあ、行くね!!……あぁそうだ、お母様の夢を聞いてしまったからには、私の夢を叶えるついでに、叶えてあげるよ!私が、医療格差もろとも、世界を変えてやるんだから。」



いたずらにニッと笑うと、母は私と同じ顔で笑った。



「ハル、帰ろう!!」

「はい!!」



私たちは馬を駆り、帰路へついた。





「………なんて強くて、賢くて、美しい子だろう。」

「……それに……優しすぎる。それがとても心配だわ………。私がいなくなって、主人はあの子に辛く当たったはずよ……生き写しのように似ているんだもの。それを一切、言わなかった……。恨んでいると、許せないと、なじられる覚悟をしていたのに。自分を捨てた母の幸せを願うなんて……私には………できなかったもの………。」



クロエは空に祈った。





「神様………どうかあの子をお守りください………。」


/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp