第251章 〈After atory〉紲 ※
「――――エイルの時も、危なかったんじゃねぇのか。」
「……例え病気じゃなくても、出産は命がけです。」
「それでもお前の病は出血すると危険なんだろう。」
「――――大丈夫な気が、するんです。」
「なんだその能天気さは。」
「――――だってもしリヴァイさんの子を授かったら……生んだら……絶対にこの腕に抱きたいから。人間、強い意志があればたいていなんとか……なるんですよ、体なんて。」
「お前医者だろ。なんでそんな適当なんだ……てめぇの体のことなのに……。」
「医者だからですよ。知ってます?思い込みで妊娠していないのにお腹が膨らんだり……思い込みで衰弱、したり……するんですよ……?」
「そうなのか……?」
「そうです。だから――――、大丈夫なんです。私があなたの子を無事生めずに死ぬ、なんてことは意地でもしません。」
「――――……なんだよ、その、自信………。」
か弱く見えてなんなんだこの、図太さと……自信は……。
まるで壊れ物みたいに大事に大事に守ろうとしていた俺の努力をまた無下にしようとしやがる。
――――だが、ナナのこの変な自信は……俺を愛しているから湧いたものだ、そう思えばなお一層愛おしく、ナナがそう言うのなら信じてみようと―――――思った。