第251章 〈After atory〉紲 ※
ナナは揺さぶられながら、もうぼんやりと快楽に思考をさらわれ始めた顔をして、半開きの唇は濡れて、吐息と嬌声を漏らしている。
ナナの吐息と喘ぎと、突き入るたびに鳴るぐじゅ、というエロい音。痛がるどころか、ますます愛液を滴らせて俺を奥へ奥へと誘う。ナナの両膝に手をやって大きく腿を広げさせて、その出入りする様を『見てるぞ』と知らしめるようにナナに目線を送ってやる。
「……ッ……や、……見な…っ……あッ………!」
ナナが羞恥に燃えた顔を隠すように自らの両手で覆った。
―――――泣いてねぇか不安になるくらいなら、こんな抱き方をしなけりゃいいものを……。相変わらず俺は、ナナに関してはいつまでもガキ臭くて不器用だと実感する。
誕生日の夜。
ナナは本当は愛に溢れたセックスを望んでいたのかもしれない。甘い言葉と、じっくりと舐めて責めて……蕩けるような快楽が欲しかったのかもしれねぇが……こんな意地の悪い抱き方をしているのは、やはりそれが……気になったからだ。
「―――――あのワインを飲んだから余計に……乱れてんのか?なぁナナ。」
「…………!」
暴かないと、急かないと思うのに……ナナの口からあのワインの意味を引き出そうと企む自分がいる。やはり俺はいつまで経っても、ちいせぇ男だ。
ナナはその理由を、言わないと思った。
――――だが意外にもナナは、俺に両手を伸ばしてくる。俺の首の後ろに両腕を絡めて、引き寄せて小さく答えた。
「…………さい、ご………になって、しまった……ワイン………です………」
「―――――………。」
「空き瓶は……っ……、帰ってから、片付けようって………っ………、でも―――――………」
ナナは俺に顔をみられないようぎゅっと抱きついたまま、消え入るように小さく言葉を続ける。
俺にこれを話すのも、おそらく葛藤しながら。