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【進撃の巨人】片翼のきみと

第251章 〈After atory〉紲 ※





街の朝市は、活気がすごかった。





「―――――うわぁ……!すごい……!」





以前からは考えられないほど、たくさんの食材が所狭しと並んでいる。食糧といえば肉と穀物、野菜しかなかったパラディ島に船や鉄道という文明の利器が齎されて、何よりも変化したのはやはり物流だった。

今ではヒィズル国とわずかにだが増えた同盟国からの輸入品や、港から上げられて鉄道で運ばれる海産物も、すべての街にではないにしろ一部の栄えた街には流通するようになった。野菜や果物も新しい品種が持ち込まれ栽培の試行がはじまり、以前エルヴィンと見て回った王都の市場、その規模をごく普通のこの街もなんなく上回っているほどだ。

「お嬢さん!綺麗だね!!いい魚入ってるよ!見ておいきよ!!」
「美容には果物が一番よ!!外国からの輸入品もあるわよ!」
「いいワインが入ったよ!どうだい?」
「今朝焼き立てのパンはいかが?」

庇のついた露店が立ち並ぶ通りを数歩歩くだけで、左右両方からひっきりなしに声をかけられて驚いてしまう。

しかもどれもこれも珍しい食材ばかりで、ワクワクが止まらなった。リヴァイさんは平坦ないつもの表情で市場を見回している。



「リヴァイさん、すごいですね……!こんな活気があるなんて……!」

「………ああ。随分変わったな。」

「わぁ、あれ見てみたい……!」



私がパッと駆けだそうとすると、リヴァイさんがガシッと腕を掴んだ。



「エイルかお前は。一人ですぐどこかに行くな。手を離すなよ。いいか?」

「………はぁい。」

「で、どれだ?」

「あっち!」



私はリヴァイさんの手を引いて、果物がずらりと並ぶ店先にやってきた。





「これ!これ……なんだろう、宝石みたいですごく綺麗……。」





私は、ルビーのように輝く小さな粒が固い殻の中にぎゅぎゅっと押し込まれて、弾けるようにして割れたその果実を指さした。固い外皮が割れた隙間から、宝石が零れ落ちているように見えて……とても綺麗だった。

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