第249章 〈After story〉証
エイルからの祝福を受けて、ナナがまた柔く笑う。
何もかもを守らなければと思っていた。ナナを、エルヴィンを、仲間を――――、壁内人類を、いやなんなら全人類も。
何度も無力だと痛感して失って……やっとたどり着いたこの “今” は……この目の前の2人を守るためだけに生きることができる。
刃を振るうことに特化したような手に、見慣れないシルバーのリングが煌めく。まだ違和感は否めないが……悪くねぇ。
「――――いいもんだな。お前になら、繋がれるのも。」
ふっと笑うと、走り回るエイルが二階へと駆けあがったのを見届けてからナナが遠慮がちに、唇が触れるだけのキスをしてくる。
至近距離で開かれる大きなサファイヤのような瞳には俺だけが映っていた。
そしてナナはふふ、と笑みをこぼす。
「私、リヴァイさんのお嫁さんだ……。」
その一言をこぼしたナナはあの時計塔に一人佇んでいた少女のようだった。失い続けながらも何かを探し求めて足掻き続けた俺たちの今は、光に満ちている。
「――――……ああ。………夢のようだ。」
最愛の女の左手をとって、俺たちの心臓を繋いでくれる番の証にまた小さくキスをした。
〈After story〉証 ~Fin~