第248章 〈After story〉腕 ※
「少しほぐせば楽になるんじゃねぇか?」
「……あっ、でも……リヴァイさんにそんなことさせられな……!」
細い足首からふくらはぎにかけて、両手で包みながら温め、筋肉と筋の間に指を添わせてほぐすように刺激してみる。
「自分でやるより心地いいだろ。どうだ。」
「~~~~んっ………ぁ…………。」
「楽か?」
「ら、楽……というか……、緊張、しちゃいます……余計に……!」
ナナの表情が確かに強張っている。意識してやがるな。下唇を少し噛んで、羞恥に耐えるような顔をしている。恥ずかしがるようなことはしてねぇんだが……いくつになってもナナは……俺の言動につぶさに反応する。
――――それがたまらねぇ。
「ふくらはぎが疲労を感じてるなら、ここも張ってんじゃねぇか。」
内心この可愛い妻をどうしてやろうかと企てつつ、涼しい顔をしてさらに脚をもみほぐす意をみせながら腿に触れる。
愛撫じゃない。
あくまで筋肉の疲労を緩和するためのマッサージだ。筋肉と骨の間をはがすように柔く揉んでいく。
「いいか?ナナ。」
「は……い……。」
しばらくそうしてこりをほぐしながら、俺の指が内腿に少し触れただけでナナはびくっと体をこわばらせる。
――――いつ俺が、体を求めてくるのか気になっているんだろう。
ナナの体のこともあり無理はさせたくない。
実はマーレから連れ帰ってからも、まだ一度もナナを抱いてない。まぁ……エイルがいるからってのもあるが……なぜか俺は、満たされていたから。一度本当に失う覚悟をしたナナが目覚めて、笑って……そこにいるだけで、その体を抱き締めて眠るだけでたまらなく幸せだからだ。
だがナナのこの反応はどうだ。
――――まるで私を欲して、と誘っているような目で俺を熱っぽく見つめる。