第245章 契
それからナナの意識が戻ったと医師を呼ぶと、たまげていやがった。
どうやら目を覚ますとは思っていなかったらしく……ついに俺が宣言通りナナを殺ったと思い、ひやひやしながら飛んできたそうだ。
『長年医者をやっていますが………、初めて、 “愛” というものの力と奇跡を、信じそうになりましたよ………。』
そう言ってナナの容体をまた診て、引き続き治療に専念しながら回復を目指すことになった。
――――難病はまだしつこくナナの体に巣食ってはいるものの……、パラディ島とは圧倒的にこれまでの症例の数も、知見も、医療レベルも薬の質も違って、しばらくはここに留まり治療を続ければ、やがて薬だけで病とも上手く付き合って行けるようになるだろう、とのことだった。
俺は神を信じなかった。
だが……信じてやってもいい。
これから12月25日は忙しくなるな。
エイルの誕生日と……俺の誕生日、そして……その救世主であり後に神となったというじじぃの誕生日も、祝ってやらねぇと。
そいつには大きな借りができた。