第244章 眠り姫
――――――だが、多くの犠牲を払ってようやく世界は繋がって………まだまだ問題はあれど、お前が夢見た世界に一歩、近づいた未来が今ここにある。
共に生きようと言える今をようやく手に入れたのに。
なぜ、お前は俺に笑いかけない?
お前はこの指輪を……どんな顔で受け取るのか、それとも拒否するのか。
――――その答えすら、得られない。
俺はナナの左手を取ってその薬指にその指輪を通す。
「――――起きろよ………、俺の………眠り姫………。」
藁にもすがる想いでナナの唇にそっと……触れるだけの、キスをする。
唇を放してナナを見下ろしてみても――――
そんな簡単に奇跡は起こらない。
ナナの目は、開くことはなかった。