第241章 結末②
リヴァイさんの体は温かくて、抱き締められた腕の中で強く速い鼓動を感じて心底、ホッとした。
でも、いつまでもその甘い余韻に浸ってはいられない。
巨人化した時の記憶は、ぼんやりと覚えている。2体の超大型巨人が掴みあっていて……あれは、エレンとアルミンだった。
そして……今こうして、すべての巨人化が解かれて、リヴァイさんが刃を置いたということは……エレンを……リヴァイさん、が……終わらせたのだろうか。でもだとしたら、聞くのが躊躇われる。
きっと……私の大事なエレンを手にかけたことを苦しく思っているだろうから。
「――――ナナ、エレンに会いたきゃ、もう……今しかない。」
「…………!」
案じたことを、リヴァイさんのほうから口にしてくれた。
「ミカサが決着をつけた。恐らくなるべく誰の目にも触れずに、ミカサはエレンの亡骸と共にここを去る。――――行って来い。お前の大事な家族、なんだろう。」
「……っはい!」
驚いた。
ミカサが。
慌てて立ち上がって辺りを見回すと……遠くに消えていく自由の翼が見えた。
――――あぁ本当に……行ってしまうんだね。
エレン。ミカサ。
「後で必ず手当、しますから……!少しだけ、待っててください……!」
「いい。行け。」
ミカサの背を追って駆けた。
息が、あがる。
呼吸が苦しくて、体に力が入らない。
それでも、今行かなきゃ後悔するから。
私は駆けながら……エレンが私を “道”に呼んだ時のことを……思い出した。