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【進撃の巨人】片翼のきみと

第236章 死線





「――――高さ、は、問題ない!!が……速度が、思ったより落ちない……!!ナナさん、建物に!!突っ込むかもしれない……!姿勢を低くして衝撃に備えて!!」



「は、はいっ……!」





ドガァッ!!と凄い轟音と共に、体が吹き飛びそうな衝撃があった。右翼のほうだ。

どうやら……建物に右翼が当たって、捥げたみたいだ。

その反動で機体は右に旋回し、そのまま別の建物に左翼が激突して再び機体が跳ね、更に下から突き上げるような衝撃で身体が浮いた。





「きゃああぁあああ!!」
「うわぁぁああああ!!」





ガガガ、ドガッ、ギギギ、ドォン!!と、耳をつんざくような轟音と脳が揺さぶられるかのような衝撃に、視界が途切れる。ベルトをしていても襲い掛かる人を死に追いやるほどの揺さぶりが、体の中身をかき混ぜるように襲ってくる。

意識が朦朧としながら、さらに何かが焦げたような匂いがする。機体の胴体部分が地面に擦れた摩擦によるものか、エンジン付近が爆ぜたのか?だとしたら早く、逃げなきゃ……でも……頭を強く打ったのか、私の意識はそこで遠のき始めた。






「……リヴァイ、さ……。」






どくんどくん、と大きく鳴る自分の鼓動しか聞こえない。

そんな中で呼ぶのはあなたのことだ。

そして私を待つ可愛い娘の笑顔と、私を呼ぶ可愛い声を思い出す。






「……帰る……から、ね……。」






遠のく意識の中でそっと手で触れた右肩は、ぬるりとした。

銃弾がただ掠っただけ。

それでも私の今の体には十分な傷だった。





どくん、どくん、と血が、そこから抜けていく。





――――フロックさんが、手招いてる。





早く地獄へ来いって。あぁ駄目だ。









少しだけ眠らせて。

だって……みんなが帰って来た時に、私は治さないといけない。みんなが傷付いたら、私が治すって誓ったから。








どこからか遠く、人々が呼びかけてくれる声が聞こえたような気がしたけれど……









応えられないまま、私は瞼と意識を閉じた。








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