第236章 死線

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その姿に俺は開いた目を一度閉じて、再び大きく開いた。

鎧を纏ったライナーを背後から奇襲してきた、素早い動きと鋭い顎と爪。その爪がライナーの顔面を削り取った。一度戦り合った相手の癖や動き方は、覚えてる。





「……なんでお前がライナーを傷付ける？仲間、だろうが……！なぁ、ガリアード！！！」





――――話してみたいと思った奴だった。

敵だが、筋の通ったやれる奴だ。

そして……同郷のガキを守ろうと身を差し出せる優しい奴だった。



――――そんなガリアードの意志が残っているのなら、仲間であるライナーを傷付けたりしないはずだ。



操られているのか？エレンに？ジークに？始祖……ユミルって奴に？誰だろうと関係ないか。ガリアードが意志もなく傀儡のように使われることが……なぜか俺の心をかき乱した。

――――兵長を死なせない。

兄ちゃんの意志を継いでるかのように当たり前に、そう思う。

けど、ここだけは。





「―――兵長！俺がこいつにつきます！」





俺の一言に兵長は頷いて、すぐに周りに目を向けた。

ジャンが雷槍を構えて、ガリアードに応戦しようとしているその背後……同じ顎の巨人と思われる別の巨人が、ジャンを狙っていた。兵長はそれに気付いて、迫り来る強靭な顎からジャンを間一救いだした。

その反応速度と瞬発力たるや、万全の状態の普通の兵士よりも数段速い。





「――――体ズタズタの人間の動きじゃないな……。」





ふ、と笑えるほどだ。人類最強はダテじゃない。俺はなおもライナーに間合いを取るガリアードに向けて刃を構える。









「来いよガリアード。また会えて嬉しい。」