第235章 決裂
「――――オニャンコポン。」
「は、はいっ!」
「――――無鉄砲な副操縦士を頼む。こいつは……エレンに次いで危なっかしい。」
「……はは、はい。それはなんとなくわかってました。了解です。兵長。」
「信用、ないですね……。」
ほんの一瞬和やかな空気が、流れる。
「俺達を降ろしたら、お前達2人は自分の命を守ることを最優先しろ。死ぬことは赦さない。」
――――あぁ、行ってしまう。
もう会えないかもしれない戦いに。本当なら抱きしめてその体温を、鼓動を感じたい。
――――だけど、大丈夫。
もういつだって私たちは―――……同じ方向を見つめて、同じことを想える。
だから……強くいる。
あなたが心配せずに戦えるように………。
リヴァイさんが欲しいと言った、“調査兵団がなくなっても、共に還る場所”
その言葉をちゃんと実現する。
彼の還る場所で、いるんだ。私が。
「はい。あなたたちが傷付いて帰って来たら――――、私が治します。」
「――――頼もしい。」
リヴァイ兵士長の手が、私の髪をくしゃ、と撫でた。
だけどリヴァイ兵士長のその顔は、なにかを押し込めて……なんとか兵士長の仮面をかぶっている、そんな……表情だった。『必ず生きて帰る』とは、言わないところがあなたらしい。
―――――いってらっしゃい。
どうか、どうか無事で。
次にこの手を繋げる瞬間がまた、訪れますように。