第232章 愛惜 ※
しばらくその歌に耳を傾けて……その歌が終わる頃には、心のささくれがとれたように安らかな心地だった。
「―――ねぇナナ。」
「はい。」
「ありがとうね。」
「……なにもしてないですよ?」
「――――ううん。側にいてくれてありがとう……。」
「ハンジさんにそう言ってもらえるなら、私がいる意味があったなら……嬉しいです……。」
――――不思議と心は穏やかだ。
「――――さて、そろそろ大陸も見えて来る頃かな。――――行こうか、ナナ。」
「――――はい!!」
私たちは自由の翼を翻した。
――――足掻き続ける。諦めない。
――――今回がダメでも、今日がダメでも、いつか、いつの日か………これまでの日々が、仲間の死が、無駄じゃなかったと思える未来に繋がると信じて――――……
私たちはまた、戦うんだ。