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【進撃の巨人】片翼のきみと

第225章 結託







「――――エレン………っ……!」





また異空間に呼び寄せられ、私たちはエレンの声を聞いた。



まさかそんな。



あの優しいエレンが……パラディ島以外の全人類を殺す?



すべての命を……駆逐すると、言った……?



私達を、守るために……。





エレンの言った言葉をうまく理解できずに混乱をきたした私の頭に、それを理解させるような地響きが鳴った。

リヴァイさんを引く荷台が、カタカタと揺れる。





「ナナ……ッ……、聞いたよね、エレンの……とんでもない言い分……。」



「は、はい……。ハンジさん……、どう、しましょう……それにこの、地響きはもしかして……。」





もうここは随分シガンシナ区に近い。動き出した巨人がもうそこまで、来ているんだ。





「―――……やりやがったな、あの馬鹿………。」



「……リヴァイ、兵士長……。」





荷台に寝ていたリヴァイ兵士長が目を開けて、チッと舌打ちをした。

これから私たちはどうしたらいいんだろう。

エレンを止めなきゃ。

でもどうやって?

彼はどこにいて……どうすれば、この地鳴らしは止まるの。



正常な思考ではないのか、何を考えてもいまいち情報がまとまらないまま、それでもとにかく考える。



その時、頭上を大量の鳥が横切った。

平野を、ウサギやキツネといった野生動物が、森を目指して一目散に駆けて行く。



こんな平野で、警戒心の強い野生動物は滅多に人前に姿を現さない。

――――それが、なりふり構わずなにか強大な命の危機から逃げるように走り去っていく。




その光景は、まさに異常だった。




人間だけがこんなにも鈍い。

心臓が締め上げられるような恐怖の中顔を上げると、段々と視界に入って来る、空に立ち昇る蒸気。

そして体が震えてるんじゃないかと錯覚するほどの絶え間ない地響き。



体が震えてるんじゃない。

大地がずっと――――震え続けている。



ハンジさんと私は、息を飲んだままそれを見つめていた。

私たちの数十m先を、無数の巨人たちが闊歩していくところを。私達には目もくれず、ただただ前進している。





そして更に私たちは、目を疑うようなものを見た。





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