第18章 聖夜 ※
ナナは俺の腕から這い出ると、少し離れて、両手を広げる。
「……おいで。」
悪戯に微笑むナナの清純な色香に吸い込まれるように、自分よりも小さく柔らかな身体にその身を預けると、両腕がふわりと俺を抱きしめ、俺はナナの胸に埋もれる格好になる。
「………お誕生日おめでとう、リヴァイさん。」
「…………。」
「生まれて来てくれて、ありがとう―――――――……………。」
ナナの言葉に、頭の隅の……もっと奥底から、何かが顔を出しそうな感覚に襲われる。
なんだ、これは。
どこかで聞いたことがある。
そしてこの温もりも、どこかで―――――――
「………リヴァイさん?」
「………なんでもねぇ………。」
「子守歌も歌いますよ?お誕生日だから、大サービスです。」
「ガキじゃねぇ………が、お前の歌は悪くない。歌え…………。」
「ふふっ、絶対寝かせて見せますから!」
ナナのその透き通ったどこまでも優しい声と、どこか懐かしい旋律は、酒を煽らないと満足に眠ることすらできなかった俺を甘く深い眠りに誘った。
「おやすみなさい……リヴァイさん……。メリー・クリスマス。」
ナナは、初めて見るリヴァイの寝顔を愛おしそうに眺めながら、その額に小さく口づけを落とした。