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【進撃の巨人】片翼のきみと

第223章 闘志




リヴァイ兵長と別れて、単騎でシガンシナ区へ駆けた。

俺達の未来を暗示するかのような重く暗い雲から絶え間なく雨が降り注いで……、兄ちゃんを、バリスさんを……仲間を救えなかったことに唇を噛みしめながら駆けた。

その雨は俺の悲しみも涙も、隠してくれて……ついでに洗い流してくれりゃいいのに、なんて思いながら、気付けばシガンシナ区の壁が見えて来ていた。





「――――っ早く、ピクシス司令に……っ!」





気持ちが急いて、より速くと馬の腹を蹴るとあばらに痛みが走る。兵長が言ったとおり、折れてるな、これは……。

だけど、そんなこと言ってる場合じゃない。

門の目前まで来て、開門を待っている間も惜しくて立体機動で壁を駆けあがった。壁上で見たシガンシナ区は不気味なほど静かで……何かが起こる前兆のような、そんな嫌な予感がした。





「………?静か、すぎる……。」





本当なら立体機動のまま最速で兵団支部へ向かうところだが……おかしい。

静か過ぎる。

イェーガー派を率いるエレンをジークに引き合わせるために案内させると見せかけて…道中で別の兵士にエレンを食わせるつもりだった。ピクシス司令は。

離反したイェーガー派以外の反乱分子を炙り出したり……警戒を強める動きが兵団側にあって当然なのに。

街が静かだ。

そもそも……兵団の人間が街中にあまり、見受けられない。




俺は嫌な予感がして、壁を降りてすぐに立体機動をやめ、そこの宿屋に繋いであった馬と引っかかっていたマントに目をやった。





「ちょっと借りるぞ!」





繋いであった馬に跨り、一言断って兵服の上からマントをかぶり、その場を駆け出した。持ち主であろう中年の男の声が、遠ざかって行く。





「えっ?!おい!!泥棒!?」





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