第222章 愛憐②
ハンジさんと共に、静かな木陰にアイビーを横たわらせて彼女のマントをその顔にかけた。
埋めてあげるための穴を掘る道具も、時間も……私たちには無かった。
亡くなった仲間を連れて帰って埋葬できるのは稀だ。
これまでも……そう。
あの巨大樹の森にも、ペトラやオルオ、グンタにエルドさん……多くの仲間を置き去りにしてきた。
――――雪の中に、リンファも………。
「……ごめんねアイビー……。あなたを、置き去りにする。」
小さく呟くと、少し離れた荷台の方からぎし、と木の軋む音がした。振り返ると、辛いだろうに……リヴァイさんが上体を起こして、アイビーの方を見つめていた。
「――――……無駄には、しねぇ………。」
小さな声で呟かれたそれは、アイビーを思い遣る言葉だ。
私は一度大きく空を仰いだ。
分厚い雲の隙間からなんとか差し込む一筋の光が……シガンシナ区の方へ射している。
やるべきことをやる、そう言い聞かせながらぎゅ、と唇を噛みしめて、死んでいった仲間たちに背を向けて、私たちはまた歩を進めるんだ。