第220章 覚醒
「………ひでぇ……顔……だな……。」
「………ッリヴァ、イ……さ……!」
「――――お前が、泣いてたら……おちおち、眠れも………しねぇよ……。」
「………そう、ですよ……。私の、涙は……リヴァイさんが……拭ってくれなきゃ……。」
彼の手を自らの頬に沿わせる。
その手を見て、リヴァイさんは小さく呟いた。
「………指が、足りねぇが……な……。」
「――――リヴァイさんは私の涙をいつも舐めとるから、問題ないです……。」
「……人使いが荒ぇ女だ……。」
「……はい。」
もっと私は泣き崩れるかと思ったけれど、何気ない会話をして、ふっとお互いに小さな笑みを零して……ただそれだけだった。
それが、そのなんでもない一場面が……何よりも愛しくかけがえのない時間なんだ。
「――――ハンジさん!リヴァイさんが目を―――――」
ハンジさんにそれを伝えようとした瞬間、感じたことのないような感覚に苛まれた。
一瞬にして別の次元にでも飲み込まれたかのような……場面が瞬く間に切り替わり、見たことも無い満点の星空と大きな樹のような光の柱がそびえ立つその空間。
そこにいた時間は一瞬のような、もうずっとそこにいたかのような不思議な……感覚。
直感だった。
――――これは、全てのユミルの民が繋がるための空間なんじゃないかって。
だとしたらそれを行使したのは――――
あなたなの?
―――――エレン。