第212章 悪夢 ※
「おいもう挿れんのかよ、早ぇな。痛がって泣かれたら面倒だぞ。」
「大丈夫だろ、こんだけの女だぞ?ヤりまくってる淫乱に決まってる。」
がばっと脚を開かれ、思わず顔を……背けてしまう。
反応なんてしない。
感じないし恥じらいもしない。
何の感情も持たないことがささやかな抵抗だった。
「……やべ、こんな綺麗なの見た事ねぇ……。さぞ使い込んでんだろうと思ったけどこりゃあ……。」
「マジかよ……。っちょっと早く代われよ……。」
牢屋の外でもう一人の男も、ベルトを解くような音を立て始めた。
「はは、待ってろよ……3回くらいはイけるかもしんねぇ……。」
「おい一回ずつだろ!」
――――怖くない。屈しない。
――――でも………心の中で叫ぶのは。
呼ぶのはあなたのことだ。エルヴィン。
「~~~~っ………!」
望まないそれが私の中を掻き分けて引き裂く。
ずっとずっと……女であることが嫌で……それを……呪ってきた。
でもあなたに愛されて、苦しいくらいに……泣きたくなるほど愛されてようやく、多くを背負い傷つくあなたをこの身体で包んで癒せると知って……生まれて初めて “女の子で良かった” と、思った。
リヴァイさんの腕の中で女としての幸せを噛みしめたあの巣箱での日々も、大切な……愛しい娘をこの世に授かれたことも。
――――女である自分を肯定できるようになったのは……あなたの愛があったからなのに。
――――またこうして、女であることを呪う。
望まない行為を強要されたことよりも何よりも、女であることをまた嫌悪してしまうことであなたとの日々を、想い出を……塗りつぶされてしまいそうで……
それだけがひどく辛くて、彼の名前を紡ぐように小さく唇を動かしては……溢れそうになる涙をなんとか堪えた。