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【進撃の巨人】片翼のきみと

第210章 歯車③






「ザックレー総統の私物である “特注の椅子” これに爆弾が仕掛けられていたとみている。総統を含む4名の兵士が犠牲になった。犯人も、その目的も不明。」





そう言いながらじろりと向けられた、細められた目の嫌な視線はオニャンコポンに向けられていた。

――――このローグは……、ナイルやエルヴィン、私とも同期に近い。そのキレる頭と上層部への取り入りがうまく、憲兵団でもそこそこの地位に昇った男だ。

――――だが私は……こんな汚いものを見るような目をするこいつが、好きではない。





「彼なら一日中私と一緒にいたし、他の義勇兵は全員軟禁中だ。」



「――――では他に考えられる勢力は?」





ローグの問に、アルミンが青い顔をしながら答えた。





「―――あの椅子は、新兵に運ばせたと総統は仰っていました……。」



「……どこの新兵だ?」





アルミンは心の内の葛藤を誠実さで抑え込んだように、なんとかその事実を口にした。






「……総統は新兵とだけ仰っていましたが……しかし……、僕とミカサは総統の部屋を訪れる数分前に……本部から走り去る新兵を見ました……。――――調査兵団です。」






そこにいた憲兵団、駐屯兵団全員が、私たちにローグと同じ……棘のある視線を向けた。その中で更に私たちを追及するのは、エルヴィンの朋友でもある……ナイルだ。





「調査兵団と言えば……エレンの情報を外に漏らして懲罰を受ける者どもがいると聞いたが――――……まさか――――……。」





私たち調査兵団への嫌疑がより一層強まろうとしたその瞬間、全てを掻き消すほどの大きな音がした。



扉を跳ね除けた音と同時に発せられたのは、緊急事態を知らせる声だ。











「緊急事態です!!エレン・イェーガーが、地下牢から脱走しました!!」












――――何かが急に………動き出した。











嫌な、音を立てながら。









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