第209章 歯車②
ジャンとコニー、ミカサとアルミンはさっそく課せられた任務を遂行しようとその場を後にした。
「さて、これからだけど……。まずは義勇兵の中でも優先して会いたいのは彼だよね。」
「はい。オニャンコポンさん……。」
「うん、おそらく彼の持つ情報が、イェレナ以外の義勇兵の中では最多だと思う。だからまずはそこからだね。」
「はい。あ、そしてハンジさん。」
「ん?」
「――――私、先日サシャのお墓参りに行った時にニコロさんに会ったんです。」
「ニコロに?ああ……彼も辛いだろうね……サシャと、良い仲だったみたいだから……。」
「はい。それで……ニコロさんの働くレストランに食事に誘って頂いたんです。アポイントをとってみて……可能ならば、そこでもなにか聞けるかもしれません。ニコロさんは義勇兵でないとは言え、ニコロさんの就業場所の確保等々をしたのもイェレナさんですし……接触が皆無というわけでないなら、なにか掴めるかもしれない……。」
「………そうだね、ニコロからは特に……、調査兵団団長としての私が行くよりも、ただのナナとして赴いた方が話しやすいかもしれない。」
「はい。」
「わかった。私はオニャンコポンとの面会を調整するから、ニコロのところへ行く日を早急に確定させてくれ。」
「はい!」
――――こうして、小さな歯車がカチ、カチ、とはまり始めた。
――――これが動き出す時、作用しあって軋み合って、大きな何かが動く。
―――――その残酷な未来を、私はまだ知らなかった。