第209章 歯車②
ハンジさんと共に兵団支部へと向かうと、騒ぎを聞きつけたミカサやアルミン、ジャンやコニーの姿もあって、何とも言えない苦々しい顔でその5名を囲っていた。
そこに拘留されていたのは……フロックさんと、新兵4名。
おそらくこの新兵4名を束ねて指揮したのは間違いなくフロックさんで、その表情を見れば反省や後悔など一片もしていないことがわかる。他の新兵もおおよそは同じように、胸を張っているとすら感じそうそうな表情だ。
――――ただ一人、背中を丸めて怯えたように震えている……その中の一人の顔は、今ここで見たくはなかった。
「………アイビー………。」
「…………!ナナ、さ………!」
アイビーがまるで救いを求めるようにガタッと椅子から立ち上がったけれど、ジャンの低い声がそれを制した。
「――――アイビー、座ってろ。」
「……っは、い……。」
アイビーはビクッと身体を震わせて、そのくりくりと愛らしい目を伏せた。
「エレンの情報を流したのは君たちか。ホルガ―、ヴィム、ルイーゼ、アイビー……新兵の君たちと、そして……フロック。何でこんなことをしたの?」
「エレンを解放すべきだからです。」
――――フロックさんの目に迷いは無かった。
彼の主張は、この国を導くのは強大な敵に立ち向かって勝利をおさめ、この島を守ったエレンである。今すぐ幽閉しているエレンを解放せよ、とのことだった。