第17章 蠱惑
「その………よっぽどの奴が、今あいつの一番近くにいるだろうが。」
「…………あぁ――――怖いね、あの人は………。」
「…………。」
想像するだけでイライラする。
本人は気付いているのか知らねぇが、エルヴィンのナナへの接し方もほんの僅かだが変わっている。
おそらく、確かめている。
俺とナナの深さを。
そして、自分のナナへの興味の深さを。
ナナは色事に関してはそこらの奴らより疎い。
もし奴が本気でナナを欲しいと思ったとしたら―――――百戦錬磨のあいつなら、絡めとるのは造作もない。
「ちっ…………。」
「まぁ私は見たいけどね!意外にナナに振り回されるエルヴィンも。」
「笑うな。おい、くだらねぇこと言ってねぇでお前も手伝えよ。このクソみたいな訓練をどうしていくのか。案を出せ。」
「いいよ!まず巨人を知ってもらうとこからだよね?!そこは私がやろうじゃないか!」
俺はハンジを巻き込み、俺に課せられてたウォール・マリア奪還計画の訓練構想を書きなぐっていった。