第198章 不和
――――――――――――――――――――
日々作戦の打ち合わせは進んで行く。
より具体的に、より綿密に……一つの街を壊滅させるほどの作戦を……組み上げていく。
「――――レベリオでのおおよそのシナリオは整って来たね。あとは……作戦が成功したとしても、どうやって仲間達を回収してパラディ島まで帰ってくるか、だけど……。」
ハンジさんがうーんと頭を抱えていると、サッシュさんが不安そうな表情でそれを口にした。
「――――ハンジ団長。本当に……本当にこのまま信じていいんですか……?パラディ島勢力をおびき寄せて、一網打尽にするような罠、だったら……。」
「――――サッシュ。それは……気持ちはわかるけど……、私たちに選択肢はないじゃないか。」
サッシュさんの言葉に、ハンジさんは困ったような顔を向けた。イェレナさんは物凄く嫌悪を顕にして顔をくしゃっとしかめた。
彼女は……ジークを信用しない者は愚物だ、とでも言うほど、完全にジークを信じ、神だと崇めている。
「――――ここまで来て愚問ですよ。」
はぁぁあ、とイェレナさんはわざとらしくため息をついてみせた。
「――――なんだと?」
サッシュさんはカチンと来た様子で、イェレナさんを睨む。
「――――ジークがこの島の勢力を消し去ろうと思えば、何度も上陸していた間にこともなくやれた。それをせず、ここまで譲歩して生き延びる方法を提示してくれていることに感謝こそすれ、まだ疑うなど愚の骨頂です。」
「―――こともなくやれた?どうだか。兵長にズタズタにやられて地に伏してたぜ?あんたのカミサマはよ。」
「――――………。」
イェレナさんは “うっとおしい” と全面に出した凄い形相でサッシュさんを睨んだ。