第197章 回帰
「――――なんって……ことだ………。」
パラディ島へと帰る船の中で……ハンジが絶望に近い表情でうなだれ……言葉を零した。エレンが姿を消し……後に届いた手紙には、このままマーレに潜伏を続け……、ジークの策に乗るとだけ……記されていた。あのクソガキは……いつもいつも自分がどれほど危険な存在なのかを知っていてなぜ勝手な行動をするのか……理解しがたい。
「――――エレンは……私達を信じていない……。なんで、なんでこんな勝手なことを……。」
「――――まさかエレンを……放っておかないですよね……?!」
ミカサがうなだれるハンジに詰め寄るが、ハンジはちらりとその顔を見て苦い表情のまま目を伏せた。
「………放っておきたくはない……、でも、まだ……どうするのが最善なのかは私には……わからない……。」
「――――そんな………。」
「あんなに……あんなにヒストリアの身を案じていたのに……。ジークの策に乗るってことは……ヒストリアを犠牲にすることに、同意したのか……?エレン………。」
ハンジのやるせない表情を見たミカサとアルミンは、ぐ、と拳に力を込めて俯いた。
――――こいつらもショックだろう。
あんなに分かり合っていたと思っていたエレンが………まるで想像外の行動を起こした。――――それはまるで、『お前たちとは分かり合えない』とでも……言われているようだ。
船がパラディ島に着いて――――……俺達は足取りを重く兵站拠点に帰った。