第195章 決意
「――――じゃあ、エレン………。」
「――――………。」
「私が子供を作るのはどう……?」
「――――………!」
「妊娠してしまえば……生まれるまで、例え兵団幹部であっても手出しはできない……巨人化させられることはない……。」
「――――ナナに倣って、か?」
思わずふっと小さく笑みが零れた。
「――――ただその場しのぎでしかないけれど……、時間が少しでも稼げれば……、なにか他の道を模索することだって、できるかもしれないから……。だから……早まらないで……。あなたが奪った命の重さで……あなたが傷つく。私はそれが……怖いよ………。」
「――――わかった。だが……絶対とは言えない。必要に迫られた時俺は……なによりも仲間の命を選ぶ。」
俺の返答にヒストリアは悲しい顔をして……また、俯いた。
「――――うん………。」
陽が落ちる。
地平線の彼方に。
――――その陽が辺りを真っ赤に染めて――――……
まるでいつか来たるその日に見るであろう景色に似ている。
―――――血の色に染まった大地だ。