第183章 白状

私が核心をつくと、ロイは目を見開いて黙った。

そして観念したように……苦しそうに目を閉じて、弱々しく言葉を続けた。






「――――……うん……。」




「――――あの　“ただのビタミン剤”　が――――………　“避妊薬”　として作用するほど、私がロイの事を信じているか――――……そうやって、測ってたんでしょう………？」







体が小さく、震える。

――――とても、悲しくて。



私はやっぱりまだ、ロイが試さなくちゃいけないほど……信用してもらえていないという事実に……涙が、込み上げる。







「――――ただ、ただ……出来心だった……！避妊薬を本当に処方すれば、姉さんは僕のところに戻らない……！死ぬかもしれない……！だから避妊薬を渡すわけにはいかなかった……。姉さんを騙すことになっても……死んで欲しくない。生きていて、欲しかった……！」





「――――………。」







――――言葉が、出て来ない……。

しかも皮肉なことに……ロイのその “嘘” により処方されたビタミン剤が、私の病気の進行を遅らせて……結果的に今、私を生かしている。






「――――……姉さんが僕の愚行を本当に赦して……僕を本当に信じてくれているのなら、避妊薬と同じ効果が得られるかもしれないって……ただの思い付きだった。僕は僕をどうしても許せないから……っ……、姉さんが僕を許してくれるはずがないって……っ……、勝手に、そう、思い込んで……！僕への姉さんの気持ちを証明できる何かが、………欲しかった……。」





「――――……ロイの処方した　“魔法の薬”　は……避妊薬に化けても、化けなくても……どっちに転んでも、ロイにとっては、良かったってわけだね……？」



「――――………。」



「――――私の意志を無視して……しかも……　“命”　を使って……私を手の内に置こうとした、ん、だね……？」





恨めしい目をしていたと思う。

見上げた私の目を見て、ロイはビクッと怯えた顔をした。