第181章 泡沫
「――――ナナ……。」
「――――リヴァイ、さ………。」
お前を呼べば、その目に俺を映して俺を呼び返す。
「――――可愛いナナ、俺の……ナナ……。ずっとここにいろよ。俺の腕の中に――――……ずっと。」
「……リヴァ……イ、さん、リヴァイ……っ……!」
キスをすれば、一生懸命に応えて吐息の合間に俺を呼びながら―――……俺の身体を非力ながらに、縋るように抱き寄せる。
「――――例えようがねぇよ……、俺はお前へのこの想いを、全て言葉で伝えきれるほど口がうまくねぇからな。」
「――――なら、抱いて……。私の体に、わからせ、て……っ……、刻み付けて――――……死んでも、忘れないくらいに……強く、強く――――………。」
「――――ああ、お前の……望み通りにしよう。」
「――――苦しいくらいに、愛、し……てる……。」
ただがむしゃらに唇を重ねて、体を重ねて熱を重ねれば、鼓動が合わさって複雑なリズムを打つ。
その心地良さに酔いしれながら、愛欲に塗れて互いの欲を満たしてくれる体と、互いの心を満たしてくれる甘い言葉に溺れながら過ごしたこの日々を―――――………
二度と戻らないあの日々を―――――………
俺は一生忘れることはない。
「――――ずっと……こうして、いられたら……いいのに――――………。」
ナナが喘ぐ合間に涙ながらに小さく呟いたそれは――――……
ただの儚い夢となって消えた。
―――――俺達のあのかけがえのない日々は、
半年も経たずに終わりを迎えることになった。