第16章 姉弟
ようやく殉職兵士の弔問や調査の事後処理も終え、いつもの訓練の日々が戻ってきた。
木枯らしが吹き、冬の訪れを告げる。
私は相変わらずリンファに習って立体機動術の向上に努め、傍らで団長補佐の仕事と、兵士の負傷・体調管理をしている。
あの日、リヴァイ兵士長のトレードマークであるクラバットを身に着けることであまりにも注目されてしまうことを知った私は、翌日にはクラバットを外し、いつもの通り細く畳んで髪に結んだ。
首筋の跡は、首まで詰まった服を着ることでなんとかごまかしている。
「おいナナ!こっち頼む!」
「リヴァイ兵士長、やっぱすげぇよな……。」
「あーーー腹減ったーーーーー!」
「ナナーーーーー怪我しちゃった………。」
「なぁ、お前はどう思う?」
飛び交う言葉の中に、時折私の名前が時折入るようになった。
入団してからリンファ、サッシュさん以外にも話せる人が増えていた。今まで友と呼べる人がいなかった私に、大切な人が増えていく。この温かな嬉しい気持ちと共に同じくらい大きくなるのは、この大切な人たちが、また死んでしまうかもしれない恐怖。
ただそんなものに押しつぶされている場合ではない。私には、やるべきことがある。