第180章 蜜月 ※
執務を終えて飯を食ってから、一緒に2人だけの部屋に帰る。
部屋に帰るとナナは、自由の翼を脱いで大事そうに壁にかけて、すとんとした楽なワンピースに着替える。
それからすぐに俺に紅茶を淹れるための湯を沸かしながら、白湯を一杯カップにとって、舌の上に錠剤を乗せる。カップに口をつけて顎をあげ、こくん、と喉を鳴らした。
――――その首筋と、溜飲のために喉がひくつく様すらエロい。
――――それに、その錠剤がこいつの命を繋ぎ止めるかもしれないものであって……あくまでも “かもしれない” であって……今もこいつの身体の中を良くない病魔が蝕んでいっていることが必要以上に怖くなってナナの背中からその身体をぎゅっと抱く。
「――――どうしました?リヴァイさん……?」
「――――薬、効いてるのか?」
「………さぁ、どうでしょうか……。まだ目に見えた変化は……ないですね……。次の検診で血液を調べてもらおうと思うので、そこで何かわかるかもしれません。」
「………そうか………。」
ナナのふわふわした髪を片側によせて、耳から首筋にキスをするとナナはくすぐったいと笑う。
「――――ここに来て、分かったことがあるんです。」
「なんだ。」
「リヴァイさんが、実はとっても甘えん坊さんだってこと。」
「…………。」
ナナははにかんで笑う。
――――少し、少しずつ、ナナの自然な笑顔が零れる回数が増えていく。まだ毎晩ふとした時に月を眺めては、そこにエルヴィンを想っているのはわかってる。だから俺は触れる。ナナに、何度も。
ここにいる限り何度も抱きしめて、キスして抱いて………、取り戻そうとしている、その心も。
――――そんな俺の努力をこの女は “甘えん坊” だとほざく。