第177章 勲章授与式
ハンジさんにかかってしまえば、シリアスな空気も一変しておかしな空気になる。………けれど今回は本当にこのタイミングで来てくださって……助かった……。
「―――いやぁ、いつかいつかと思ってたけど、ついにか!いいねぇ思春期!!キスの仕方も分からず突進したってわけだね。」
「…………。」
「んで、目撃したリヴァイによって腹に一撃入れられたと。そういう事だね。フラフラしてたよ、エレン。」
「――――……はい………。」
「ん、まぁそれは面白いから追ってエレンのその後を観察するとして……、ヒストリア女王と触れた時だね?エレンの様子がおかしかったのは。また新たな記憶の扉でも開いたのか……、ナナ、エレンは何か言ってた?」
「――――断片的で抽象的な事しか、言っていませんでしたが……全て覚えていますのでお話します。」
「ああ、兵団本部に場所を移して詳しく聞こう。んじゃリヴァイも、ほら行くよ。いつまでも拗ねてないでさ。」
「………ちっ………。」
ハンジさんがリヴァイ兵士長の背中を扉の方に押し出すようにして部屋からの退出を促した。その後に続いて私も部屋を出る。
エレンのあの怯えようは……ただ事じゃなかった。
もう少しちゃんと、聞きたいところだけど……リヴァイさんには釘を刺されてしまったし……、2人で密室にいるのは避けよう。ミカサやアルミンと一緒なら……とも思うけれど、なぜがミカサやアルミンには話したくなさそうな様子だったから……。
「――――どうしようかな……。」
でも、絶対になにか……重要な事のような気がする……。
広間で調査兵団は一度集まり今後の動きをハンジ団長から指示を受けて、解散した。
「――――ミカサ。」
「ナナ。エレンのこと……ありがとう。戻って来て安心した。もう大丈夫そうなの?」
「――――うん……、多分……でも、気を付けて見ていてあげて……。」
私がエレンの事を注視するように伝えると、ミカサは少し嬉しそうな顔をしていた。
視線を感じたその先―――――……
ミカサの後ろにいるエレンが私を見つめていて……、私は慌てて目を反らして踵を返し、頭を悩ませながら……ハンジ団長とリヴァイ兵士長と共に王宮を後にした。