第172章 情炎 ※
「――――嬉しい、気持ちい………幸せ…………。」
「――――そうかよ。じゃあもう遠慮なく抱き潰す。3年分な。」
その両腕を引き寄せて、より奥へ奥へ………俺の欲望をその腹の中に、全て叩き付けるようにまたナナをガクガクと揺さぶった。
溢れる愛液が絡む音の間に響く、甘く鳴く子猫のようなその声も
白く糸を引いて――――繋がっていることを、お前の心が俺に向いていることをありありと分からせてくれるそこも
痛くて辛いくせに全てを受け入れて、俺に愛情を示そうとする健気さも
意識を保てずに視点の定まらない目をなんとか俺に向けようとしてくるそのいじらしさも
――――全てが愛しい。
可愛い。
好きだ。
食らいつくしたいほど愛してる。
もう誰にも渡さない、俺だけのものだ。
ずっと欲しかったナナの背に腕を回して、強く抱く。
触れたら汚してしまいそうで………
想いをぶつけたら傷付けてしまいそうで………
抱いたら壊してしまいそうで………
不可侵にすべきだったのかもしれない。
だがもう一度知ってしまえば、止めることも諦めることも――――………できない。
だから一緒に超えて行く。
ぶつかって傷つけ合って、汚し合って………
綺麗に守る、なんてクソ喰らえだ。
愛も欲も孕んで一緒にこの世界を生きていく。
この残酷な世界で片翼を失ったお前がもう飛べないと泣くなら―――――
俺が補う。
片翼のお前の側で、ずっと。