第172章 情炎 ※
「――――っふ、ぁ……!ま、た……変に……なっ………」
「――――限界だ、ナナ……。どうして欲しい?欲しいなら乞え、俺を………!」
「………欲し、い……、リヴァイさんが、欲しい……。」
「どこになにを欲しい。ちゃんと言えといつも言ってるだろうが。」
その淫靡な表情で見下ろす愛しい人に、淫らに乞う。
「………私の……っ、中に、リヴァイさんの……、っ挿れて、欲し…い……。」
私の懇願に満足げな表情を見せ、金属のベルトを解く音がして………彼もまた、私と同じ一糸まとわぬ生まれたままの姿で、私を見下ろす。
そして私を見下ろす目を少し見開いた。
「―――――なにを、泣く………?」
ずっとずっと止まらない涙が、頬も、髪も濡らしている。
こんなに淫らにエルヴィン以外の男の人を求めている自分の汚さに絶望しながら、リヴァイさんと肌を交えて、その熱が嬉しくて、悦んでいる自分にまた嫌悪して………この混沌とした感情には、出口が見えない。
「―――――わからない………。心の中、ぐちゃぐちゃ、なので………。」
「――――悪いが、やめてやる余裕はない。」
「――――やめなくていい………。」
「――――…………。」
「――――わがままを、言って、いいなら………。」
「―――なんだ。」
「繋がるその瞬間は、後ろからじゃなくて、顔を、みて……したい………。ちゃんと、リヴァイさんに抱かれてるって、嫌ほど、わかりたい………。」
はぁ――……、はぁ――……、と長く細い呼吸をしながらリヴァイさんを見上げると、その手は優しく頬を撫でて、ふ、と小さく切なそうに………笑った。
今そこでその顔は、ズルい………。
欲にとりつかれて淫らに交わるだけなら、まだ罪悪感も片方だけで済んだかもしれない。
――――けれどリヴァイさんが、“愛しい”と溢れんばかりにその目線に込めてくるから………。
私もまた、涙が出て………。
心の中で今度こそ、エルヴィンに『ごめんなさい』と呟いた。