第172章 情炎 ※
自身のシャツを脱ぎ捨てたリヴァイさんは、丁寧に私のシャツのボタンを全てはずして、肩からシャツを降ろして首筋にキスをした。
彼の指が私の頭の後ろ……髪止めを掴んで引き抜くと、波打つシーツの上に長い髪がまばらに広がる。
リヴァイさんは指にとったリンファとお揃いの髪止めをちらりと一瞥すると、窓辺や枕の横に置くこともせずに、自分のズボンのポケットにねじ込んだ。
「―――――………?」
どうしたんだろう、と蕩けた目でぼんやりと見上げていると、リヴァイさんは目を逸らして小さく舌打ちをした。
「―――――なんとなく、あいつが見てそうだからな………。」
あいつ?
あぁ……リンファが?
バツが悪そうにふん、と鼻を鳴らすリヴァイさんが面白くて、ふっと笑ってしまう。
「リンファはそんなに野暮じゃありませんよ。」
「どうだか。お前の気持ちが整理できてないのにつけ込むんじゃねぇ、とか言いそうだあいつは。」
「――――つけ込んでるんですか?」
「――――そうだ。我慢できなかった。」
「…………十分、我慢してくださいました。あなたがいたから――――………。」
今私は、エルヴィンの後を追わずに生きている。
そう、言いかけてやめた。
「――――リヴァイさんの有言実行を、楽しみにしてる私がいるんです。」
「あ?」
「―――――身も心も、埋めて………。ぜんぶ、リヴァイさんで埋め尽くして………?」
「――――あぁ、クソ………お前が煽ったんだ。壊れるなよ……!」
頭を押さえつけるようにして、食らいつくすように唇を貪って………リヴァイさんの左手が力強く、下着の上から胸を掴んだ。
「――――っ………。」
ぴくん、と体が反応する。
やがてその手は下着と肌の隙間に滑り込み、直にその感触を楽しむように形を変えられながら、下着から掬いだすように胸を露わにすると、興奮した少し乱暴な手つきで肩ひもをずりさげ、手慣れた手つきで背中の留め具を外される。