第171章 感応
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唇を割ってその内を乱すと、ナナは息を荒げながら俺の腕を避けさせようと力を込めた。
その華奢な両手首をまとめて、腰のあたりで押さえつけて――――無理矢理身体を返すと、ナナの潤んで怯えた目が俺を映す。
「リヴァ、イさん……手………、痛い……。」
眉間に皺を寄せて、目を細めてナナが痛いと訴える。
――――それすら、俺の欲を掻き立てるんだ。
――――当たり前だ。
俺を抑制してた、歯止めをかけていた奴が……この世から、いなくなったんだからな。
「――――お前は俺に助けて、と言っただろう?助けてやる。なぁナナ。エルヴィンのことなど思い出せなくなるくらい、俺がその身体も心も全て――――埋めてやる。」
「リヴァイさんのことは……愛して、います……。でも…っ……、私の中には……まだ、……エルヴィンが鮮明に、心の中に、いるんです………っ………。」
ナナは訴えるように、苦しそうに、絞り出すように答えた。――――だから俺の腕に還るなんてエルヴィンを裏切るようなことはできないと、言いたいのか。
「…………。」
「――――ごめん、なさ……っ……。ちゃんと、考える……から……っ、ちゃんと、向き合う、から……………、もう少し……待って………っ………。」
ナナが泣く。
少女のように、ぽろぽろと涙を流して。