第167章 Love Letter
「――――うん、私は事実と相違ないと思うけど、リヴァイはどう見る?」
「――――いいんじゃねぇか。」
「えっちゃんと見た?」
「――――どう書いたって、所詮は受け取る奴の受け取り方次第だろうが。……それに俺達の書いた原案ままであのじじぃ共がいくとも思えねぇしな。時間をかけるだけ無駄だ。」
「ははっ、まぁね。一理あるね。」
ハンジの部屋で、兵団が民衆に“この世界の真実”を周知するための原稿のたたきを作る。
最も真相をよく知っている俺達調査兵団が作れという指示だが、どうせじじぃ共に渡った先で兵団側に都合のいいようにイジられるに決まってる。
――――まぁただ、そんな兵団であれ、都合の悪い記憶は民衆全員の頭の中をいじくりまわして消しちまうほどの悪党ではないだけましだろう。
ハンジとのその作業がちょうど一段落した頃に、扉が鳴った。
「はい?」
「ナナです。」
「あぁどうぞ!」
「失礼します。」
ナナが何やら大量の資料を両手いっぱいに抱えて、体で扉を押し開けていた。
――――ったく、危なっかしい。
俺が歩み寄って資料を受け取ると、ナナは余所行きの笑顔を見せた。
「――――ありがとうございます、リヴァイ兵士長。」
「………ああ、エルヴィンの資料か。」
「………はい。」
「えっ早速?もう少し休養してからで良かったのに、ナナ大丈夫?体は……?」
ハンジがいつものように、想定していたよりも随分早く終えて来るナナの仕事ぶりに心配そうに眉を下げた。
「――――大丈……。」
「――――夫じゃねぇよな、今日も晩飯食ってねぇな?お前。」
青白い顔で何が大丈夫だ。
ナナの言葉を遮って釘を刺すと、わかりやすく目を泳がせる。
「…………えっ……と………。」
「ええ、それはダメだよナナ。ナナの身体のことをないがしろにしてまで、部屋の整理して欲しいわけじゃないからさ。」
「………はい………。」