第166章 躊躇
明後日、王都に戻るその時にリヴァイさんが一緒に行くと言ってくれた。
それはとても心強いけれど――――……少し不安だ。
2人で過ごす間、私はどういう顔をしたらいいのだろう。
「――――教えてエルヴィン、私はどうしたらいい………?あなたは、私を――――……どうしたい………?」
胸に抱いた本に縋るようにぎゅっと力を込めて呟いてみても、返事は返ってくるはずもない。
誰も傷付けたくない。
でもきっと私がどの選択をしても、誰かを傷付ける。
――――結局いつもいつも、大事な人を傷付ける。
壁内人類の命運がかかっている時に、こんなことで乱されている場合じゃない。けれど……私にとっては人類の存亡よりも大事な2人だから……もう少しだけ、乱れたまま……自分の思考を、意志をちゃんと整理できるまで、時間が欲しい………。
「――――強くない私を、赦して………。」
言い訳がましく呟いたその言葉を残して、私はその部屋を後にした。