第14章 疎通 ※
ナナの中は熱かった。
いつだって人間の温かみを感じる時は、死にゆく瞬間だ。数えきれないほど、仲間が死にゆくのを見てきた。
最期の時。
その熱さは、生ぬるい血とともにやがて俺もろともに冷え切っていく。
だがナナの身体は、決して冷えることがない。
俺が少し肌に触れるだけで、俺を溶かそうとしているのかと思うほど熱を増す。
『生きている』
戦場意外でそれを感じたのは、初めてだった。
俺は今までに感じたことのない高揚感を覚えつつこめかみに向かって一筋流れたナナの涙を指で掬い、口づけた。
もっとナナを感じたい。
もっと乱れて、泣いて、堕ちる様を見たい。
俺はゆっくりと腰を引き、再び奥深くまで強くねじ込んだ。
「んぅっっっ!!!」
まるで異物の侵入を拒むかのように、ナナの中が収縮した。
「つっ…………ナナ、力を抜け。締まりすぎて……痛ぇ………。」
「………お……お言葉です……が………。」
「あ?」
ナナは眉間に皺をよせ、訴えるように俺を見上げて言った。
「ぜ……絶対……私の方が痛いです………っ………!」
「………そうだな……。」
少しの罪悪感により、思わずナナから少し身体を離そうとしたが、ナナがそれを許さなかった。
ナナの腕は俺の首に回され、身体が重なり合う。
「………ふふっ…………。」
「なんだ………?」
「………反対だ…あの時と………。」
意味深な言葉をつぶやいたかと思うと、ナナは目を細めて微笑み、俺を抱き寄せる。