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【進撃の巨人】片翼のきみと

第159章 地下室





「一見して医師であるイェーガー氏の仕事部屋だ。『何も怪しいものはありません』私にはそう主張しているように見える。」



「――――中央憲兵にいつ踏み込まれるかわかんねぇんだ。見られて困るようなもんは一見しただけじゃわからねぇところに隠すだろうな。……おい突っ立ってんじゃねぇぞガキ共。エルヴィンの勘はそう外れねぇよ。」





兵長の言う通りだ。

俺とミカサも部屋のあらゆる箇所をくまなく探した。



――――何か、何かあるはずだ……父さんが俺に遺したかったものが……!しばらくして、ミカサが何かに気付いた。





「エレン。ここに……鍵穴がある。」





部屋の中央に堂々と置かれた書き物をするための机。

その側面に……鍵穴があった。



俺の持っていた鍵はその鍵穴にぴったりとはまり―――――、そこには………3冊の書物が、大事そうに保管されていた。




「――――俺達の探し物はこれらしいな。」



「……親父は俺に……何を見せたかったんでしょうか?」





俺が震える手で本を開こうとすると、ミカサもまた手を添えて―――――俺の震えを、止めてくれた。

カサ、と乾いた音を立ててめくられた本の最初に挟まれていたものにまず、俺達は目を奪われた。





驚くほど精工な肖像画。





――――かと思ってそれを手にとった。





その裏には――――親父の文字で、こう記されていた。












“これは絵ではない。これは被写体の光の反射を特殊な紙に焼き付けたもの。写真という。私は人類が優雅に暮らす壁の外から来た。人類は滅んでなどいない。この本を最初に手にする者が、同胞であることを願う。”








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