第159章 地下室
壁上に全員が退避して、昇りきった太陽を眩しそうに見つめる。
―――――長すぎる、朝だった。
――――ナナ、見てるか?
お前もこの眩しい太陽を。
作戦は成功したと言っていいのだろう。
だが――――……お前には辛すぎる現実を、俺達は持ち帰ることになる。
遠く北の空を眺めて、クラバットに手を添えた。
ウォール・マリア区内側を見ると、――――やったんだな、サッシュ。そこには一体の巨人も見当たらなかった。
だが……サッシュは帰って来ていない。
壁上を、数匹の馬と荷馬車を引いて別動隊が駆けて来た。
バリスとアーチだ。
「……皆さん……!リヴァイ兵士長……!」
「バリス。助かる……お前らの補給物資がなけりゃ、俺達はせっかく生き残ったのに帰れねぇところだった。」
バリスが青い顔で俺達を見つめる。
「――――これだけ、ですか……生き残った……のは……。」
「――――今のところはな。」
バリスの横で、アーチが絶望の色を濃くした顔で小さく震えている。兄貴が死んだかもしれねぇと、受け止めきれてないのだろう。
「………フロック、動けるか。」
「……はい。」
「フロックとバリスとアーチで、可能な限り生存者がいねぇかどうか確認しろ。」
――――散々地獄絵図を既に見て来たフロックには酷だが――――……ハンジもミカサもエレンもジャンもコニーもサシャも……今すぐ動けるような状態じゃねぇ。
「はい……。」
「――――アーチ、サッシュが死んだところを誰も見てねぇ。生きてる可能性はある。見つけ出せ。必ず。生きてたら、引きずってでも連れて帰って来い。」
「――――は、い……っ……!」