第155章 ウォール・マリア最終奪還作戦②
「あの勇敢な死者を!!哀れな死者を!!想うことができるのは!!生者である我々だ!!我々はここで死に、次の生者に意味を託す!!!それこそ唯一!!この残酷な世界に抗う術なのだ!!!」
――――怯え、泣き叫んでいた彼らは、腹を括った。
その背に背負う自由の翼は……なんの犠牲も覚悟もなく、背負うだけで飛び立てるものじゃない。
いつか羽ばたく、この先の同志のために―――俺達は抗う。
最期の最期まで。
覚悟を決めた若き兵士たちを見て――――、リヴァイとサッシュは――――……闘志を漲らせて目を伏せた。
「――――リヴァイ。」
「あ?」
「――――ナナを頼んだ。」
「………言われるまでもねぇよ……。」
「ふふ……そうか。」
―――――なぁナナ。
いつも君の声が俺には聞こえるが……俺の声は届くのかな。
――――最期まで約束を守らない俺に……君は泣いて怒るかな。
その涙を拭ってくれる男は――――君の元に必ず還る。
だから泣かなくていい。
君には笑顔が一番似合う。
君と出会えて、俺は俺を生きる事ができた。
――――愛している。心から。
――――ナナ、ナナ……………
あぁ……そう言えば俺は女性との別れは綺麗に後腐れなく、がポリシーだったんだが。
君にだけはどうにもそう、できそうにない。
俺の死は君の心に大きな傷を作るだろう。
その傷が痛むたびに俺を思い出せ。
―――――俺は死んでも――――――
君を完全に逃がしてなんか、やらない。