第154章 ウォール・マリア最終奪還作戦
――――父の仮説に繋がる彼女の夢。
彼女の甘っちょろい夢は、私にとってはとても甘美で――――………血に塗れたの俺の罪を、“夢”へと変えて、輝かせてくれた。
父の仮説を共に証明しようと言ってくれた。
そして―――――その先にある素晴らしい世界を、共に生きようと。
――――俺とナナの夢に繋がる“答え”が、すぐそこにある。例えこの作戦が失敗しても……地下室にさえ行けば、その真相が掴める。
ここで死ぬならその前に――――その“答え”を、知りたい。
その秘密をきっと生き残れる人類最強のリヴァイか……後から来るサッシュにさえ託せれば、それはナナに届くだろう。
無論ナナの元に帰ることを諦めているわけじゃない。
だが、俺には信じて託せる仲間がいる。
――――ナナとリヴァイが教えてくれたんだ。頼っていい仲間がいると。俺と同じ意志で調査兵団を率いて、進み続けるための舵をとれるハンジやリヴァイ。そしてアルミン。
それにその大いなる力を秘めたエレンにミカサ。
愛する者の死を超えて強くなり続けるサッシュ。
思い通りに動かないこの身体が不利に働くことはわかっている。
それでもリヴァイの制止を振り切ってこの戦場に来たのは――――――
まだ見ぬ 君が幸せに生きていける未来 を勝ち取るためだ。
ナナが夢見た“素晴らしい世界”にはまだ届かなくても、こんな檻のような世界じゃなく、その翼でどこまでも飛び立てるような世界を――――そこへ辿り着く可能性を、遺してやりたい。
最愛の君へ。
壁の世界の真相と、外の世界への足掛かりこそが……俺から与えてやれる”愛”の形だ。
「――――どこまでも勝手な俺に、君たちは怒るか?」
―――――ふっと、小さく口元に笑みが浮かぶ。
――――さぁ、まだまだここからだ。